課題
新型コロナワクチン接種記録確認業務の負担軽減
業種
自治体

三次市

新型コロナワクチン接種記録確認業務にAI-OCR(Seisho)とRPA(EneRobo)を導入し、紙帳票の読取り・データ突合等の自動化を実現

EneRobo Seisho

POINT

広島県中心部に位置し、約5万人の人口を有する三次市。同市では医療機関から届いた「新型コロナワクチン接種記録」と「ワクチン接種記録システム(VRS)」のデータを職員が照合し、VRSの登録内容に誤りがないかを目視で確認する業務の対応に迫られていたが、5万件以上もある確認作業は正確性とスピードが要求され、職員の大きな負担となることが想定されていた。そこで同作業の効率化と職員の負担軽減を図るため、RPA・AI-OCRを導入。今回導入を推進された情報政策課の宮本様・小笠原様・青木様と、実際に現場でRPA・AI-OCRを使われた健康推進課の塚本様・横山様・徳間様にお話を伺った。

係長 宮本 香 様

情報政策監 情報政策課
ICT活用推進係
係長 宮本 香 様

主任主事 小笠原 京介 様

情報政策監 情報政策課
ICT活用推進係
主任主事 小笠原 京介 様

主事 青木 美菜子 様

情報政策監 情報政策課
ICT活用推進係
主事 青木 美菜子 様

係長 塚本 直巳 様

福祉保健部 健康推進課
健康企画係
係長 塚本 直巳 様

主査 横山 吏志 様

福祉保健部 健康推進課
健康企画係
主査 横山 吏志 様

保健師 徳間 春菜 様

福祉保健部 健康推進課
健康企画係
保健師 徳間 春菜 様

RPA(EneRobo)・AI-OCR(Seisho)導入の背景

塚本様:新型コロナワクチン接種記録の確認業務については、当初、人の目で確認して、手作業で入力するつもりで覚悟を決めていました。アウトソーシングも検討しましたが、急を要する募集に応募があることも期待できませんでした。「どうしたらよいものか…」と困り果て、情報政策課に相談を持ちかけたところ、RPA・AI-OCRを使って自動化を試みてはどうかと提案されました

宮本様:もともと三次市ではDXを推進する意向で、すでにRPA・AI-OCRを導入しておりました。健康推進課の話を聞いて、「それならRPA・AI-OCRで対応できるのではないか」ということになり、エネコムさんにも相談を持ちかけ、導入に向けての取り組みが急遽始まった次第です

塚本様:当時の状況としては、3回目接種やワクチン接種証明書アプリの利用開始(2021年12月20日)に向けて、「なるべく早く確認作業を終えてほしい」という通達を国から受けていました。時間的な制約がある中、膨大かつ間違いがあってはならない業務です。スピードと正確性が同時に求められるということもあり、職員の大きな負担となることを危惧していました

■導入の背景ポイント
・アウトソーシングにかわる突発業務への対応
・作業の迅速化と正確性の向上
・業務に従事する職員の負担軽減

係長 塚本 直巳 様

RPA(EneRobo)・AI-OCR(Seisho)を選んだ理由
使いやすさやコストパフォーマンスのよさが選定の決め手に

■ RPA(EneRobo)について

宮本様:導入前に実証実験を行い、他社とも比較検討させてもらったのですが、EneRoboは「使いやすい」点と「端末に依存していない」点の評価が高かったです。将来的には各部署で同時利用していくつもりでしたので、端末が変わるたびにセッティングの必要が生じるのは厄介です。将来的なことを考えて、端末に依存していないのは大変魅力的でした。コスト面も、タイミングよく使い勝手のよいプランが新たに打ち出されました。使い方次第でRPAは非常に便利にもなるのですが、利用シーンが増えないとコストがかかるばかり。その点、使う側の条件に見合ったメニューなら、コスト面の心配が軽減されます。他にも、エネコムさんの導入実績や導入後のサポートも選定の大きなポイントとなりました

■選定ポイント
・ツールの使いやすさ
・コストパフォーマンスの良さ
・導入実績
・導入後のサポート

■ AI-OCR(Seisho)について

青木様:私も実証実験でAI-OCRを体験したのですが、書類を読み取る際、AIが認識結果に対して自信のある箇所は黒いままで、自信がない箇所は赤く表記してくれます。「なるほど、ここを確認すればよいのだな」というのが一目瞭然で、とても使いやすかったです。しかも、これまで書類を目視して手入力していたものが、RPAと組み合わせることにより短時間でエクセルへ自動入力してくれるので、作業負担や入力ミスを削減することができました。また、実験では誤認識もほとんどなく、読み取り精度もかなり高いなという印象を受けました

■選定ポイント
・ツールの使いやすさ
・読み取り精度の良さ

ICT活用推進係

RPA(EneRobo)・AI-OCR(Seisho)を活用している業務

「新型コロナワクチン接種記録」のデータ照合・確認作業へ導入

医療機関から送られてきた「新型コロナワクチン接種記録」を、まずは人がスキャニングしてPDF化。 それをAI-OCRによって文字データ化して、CSVデータとして出力。 次にそのCSVデータと「新型コロナワクチン接種記録システム(VSR)」のCSVデータをRPAが突合。 誤りが検出された書類のみ、職員の手で修正を行う仕組みとなっている。

導入前の課題

・アウトソーシングにも頼れず、職員が5万件以上もの案件を目視で確認する予定であった。

・間違いが少ない中での間違い探しは大変集中力を要する作業。職員の負担度も大きかった。

・突発的な業務に手を取られ、通常の業務が滞るのではないかという懸念もあった。

業務の流れ

導入効果

・RPA・AI-OCRの代行により作業時間が削減され、目標の期日までに業務が遂行できた。

・作業の効率化、正確性も向上し、心のゆとりが生まれた。

RPA(EneRobo)・AI-OCR(Seisho)の導入効果
自動化により作業時間を81.1%削減。作業の迅速化と正確性を図り、職員の負担を軽減。

徳間様:書類の照合といっても、基本的には正しく入力されることがほとんどですので、逆に「見落としてはいけない」と、常に緊張感で張り詰めていました。しかし、RPAを導入してからは、単純だけど大事な作業を、ロボットがしっかり代行してくれました。夜間も作業してくれるので、作業時間もずいぶん削減できました。おかげで三次市では目標としていた期日(2021年12月20日:新型コロナワクチン接種証明書アプリの利用開始日)までに確認作業を完了できたのですが、もしもRPA・AI-OCRを導入していなかったら、おそらく今も延々と終わらない作業に追われて、ワクチンの3回目接種に必要な接種券の発送にも遅延を招いていた可能性があったと思います。

横山様:私はロボットが確認作業を代行してくれたことで、他の業務に支障がなかったことがありがたかったですね。 我々は確認作業の専従班というわけではないので、同時進行で日々の業務も行っていかねばなりません。通常業務にも専念でき、サービスの質を落とすことなく、市民の皆さんに提供できたのは、RPA・AI-OCRが業務の効率化を実現してくれたおかげです

健康企画係

エンジニアによる導入・運用支援
コミュニケーションを重ねながら、使う人にやさしいロボットを作成

角屋敷 祥太

株式会社エネコム DXイノベーションサクセス部
 角屋敷 祥太

角屋敷:急ぎの案件であったため、とにかくスピード感をもって対応できるように努めました。ロボット作成にあたっては、業務ご担当者様からのヒアリングをもとに、課題を明確にしたうえで、使いやすさを重視した提案を行いました。本格稼働に至るまでも、ご担当者様とコミュニケーションを重ね、トライ&エラーを繰り返しながら、ロボットの操作に慣れていただきました。その結果、お話をいただいてから、およそ半月という期間内で運用まで漕ぎ着けることができました。

小笠原様:今回は急な案件且つ期間も短かったため、エネコムさんにはとにかく迅速に対応いただいたという印象です。また、コロナ禍ということもあり、作業日程や業務担当者との調整も難しかったですが、柔軟に対応いただき感謝しています。

宮本様:今回は市民の方に正確なデータを提示できるようにするということが大きな目的でしたが、そこに至るまでの運用やロボットの仕様について職員の中で明確なものがあったわけではありませんでした。しかし、業務担当者と密にコミュニケーションをとり、エネコムさんからしっかりとご提案をいただいたことにより、結果的に運用として上手く回っていますし、成果を出すことができました

徳間様:本格稼働するまでは動作停止するなどのちょっとしたトラブルもありました。しかし、その都度、迅速に対応してくださり、私自身が操作に慣れるまで繰り返しサポートしていただきました。また、単にロボットを作成するのではなく、その後の事務処理まで考えて、細やかなアドバイスをしてくださいました

今後の展望
引続きRPA・AI-OCRの適用業務拡大を図るとともに、今後は人材育成にも力を入れ、内製化を目指す。

宮本様:三次市が取り組むDXは、やり方を抜本的に変革して、市民の利便性や職員の働きやすさにつなげていこうというものです。そのうえでRPAは非常に有効な手段。今後も適用業務の拡大を図っていきたいと考えています。また、今後DXを推進していくのに核となるのは人材育成です。システム導入はひとつの手段にすぎませんが、それを選定し、使いこなすには、人材が必要です。今後は人材育成にも力を入れつつ、できれば内製化も目指したい。エネコムさんにも頼もしい伴走者として、ぜひ力を貸して欲しいと期待しています

係長 宮本 香 様

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